【イスラエル選挙】右派は台頭したのか?

イスラエル時間1月22日に第19回クネセト選挙が行われました。
各党の獲得議席は以下の通りです。

政党名 今回獲得議席 改選前議席 前回(09年)獲得議席 イデオロギー
リクードイスラエル我が家」連合 31議席 42議席 42議席 右派
(うちリクード 20議席 27議席 27議席 右派
(うちイスラエル我が家) 11議席 15議席 15議席 右派
イエシュ・アティ 19議席 - - 中道
労働党 15議席 8議席 13議席 左派
ユダヤ人の家 12議席 5議席 7議席 右派
シャス 11議席 10議席 11議席 超正統派
ユダヤ・トーラ連合 7議席 5議席 5議席 超正統派
ハトヌア 6議席 7議席 - 中道
メレツ 6議席 3議席 3議席 左派
統一アラブリスト=タール 4議席 4議席 4議席 アラブ系
ハダシュ 4議席 4議席 4議席 左派
バラド 3議席 3議席 3議席 アラブ系
カディマ 2議席 21議席 28議席 中道

(太字が政権与党)

右派:43議席
超正統派:18議席
中道:27議席
左派:25議席
アラブ系:7議席

Final vote tally gives Kadima reprieve, Jewish Home a 12th seat | The Times of Israel

http://www.bechirot.gov.il/elections19/eng/list/Results_eng.aspx

注目されるのはジャーナリストのラピドが率いる新党イエシュ・アティドの躍進です。
イスラエルの選挙では時々、中道政党の躍進が見られます。
最近では03年の選挙でシヌイが6議席から15議席と躍進し第3勢力となりました。
しかし今回とよく似ているのは77年に15議席を獲得した「変革のための民主運動」でしょう。
この「変革のための民主運動」も今回のイエシュ・アティドもいずれも解散前議席ゼロからの躍進という点が酷似しています。
「変革のための民主運動」はすぐに崩壊し、シヌイも現在は活動をしていません。
イエシュ・アティドは同じ轍を踏むことなくイスラエル政治史に名を刻み続けることができるのでしょうか。
とまれネタニヤフ首相が率いるリクードが11議席減という厳しい状況のため、連立パートナーの候補として大きく立ちはだかることは間違いないと思われます。

イスラエル総選挙でネタニヤフ首相続投へ、右派台頭の見通し
上記の記事にあるように事前の報道では右派が躍進するという予想でしたが、実際の結果は違いました。
中道政党もイエシュ・アティドが躍進した一方、前回の比較第一党であるカディマが惨敗しています。
ブロック別で見ると、左派の労働党やメレツが微増しており、右派台頭という見方はどうも違うのではないかと思います。

最後にトピックとして地域別の得票率の違いを見てみましょう。
How Israelis voted -- from Jerusalem to Tayibe to Efrat | The Times of Israel
エルサレムユダヤ・トーラ連合(22.04%) リクード(20.51%) シャス(15.56%)
テルアビブ:イエシュ・アティド(20.73%) リクード(17.51%) 労働党(16.83%)
ハイファ:リクード(26.11%) イエシュ・アティド(18.07%) 労働党(15.21%)
超正統派の多いエルサレム無党派層の多いテルアビブというそれぞれの特徴が出た結果であるように思えます。
一方で昔から「赤のハイファ」と呼ばれたハイファで従来は強かった労働党の結果が芳しくなかった点が興味深いところです。

続報があれば追記しますが、今日のところはこの辺までといたします。
議席確定で追記しました 1/25)